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上野|国立博物館

イム展で仏教のはじまりを知る

東京国立博物館でのインドの仏展。面白かったですよ。

上野|国立博物館|イム展で仏教のはじまりを知るの画像

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まあ、なんてインパクトなんでしょう。

ここしばらく駅のホームで見かけていて、気になってたんですね。

上野の東京国立博物館の「インドの仏展」。


これ、「仏」が「イム」としか見えないけど、絶対的に狙ってますよね。

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思うんですよ。仏教というか宗教全般に言えることなんですが、敷居が高すぎる。

お墓参りとか法事とかそういうのはもちろん体験したことがあるけど、はっきり言って、なにがなんだか分からない。

でも、一応仏教が主要な宗教の国に生まれたわけだし、ちょっとくらいは理解したいなという気持ちもあったので、仏教の面白さについて考えてみました。

仏教は始まってから気が遠くなるような長い時間が経っているので、複雑化してしまい理解するだけでも難しいそうですが、その初期だったらまだ教えも単純で分かりやすいものかなぁと。

そうです。やはり初期の仏教と言えば、インドです。

インドの仏展

この上野の国立博物館で開催されている「インドの仏」展は、仏教の始まりの地。すなわちインドにおける初期の仏教についての色々な展示なんですね。

ということで、インドの仏教を知りに国立博物館へ。

仏教も最初は単純だった

最初に分かったことです。

仏教も最初は単純だったんだなぁと。

インドの仏展は、初期の仏教の美術品をその流れによって順々に並べてあったのですが、重要なのは、仏教の開祖である「ブッダ」すなわち「釈迦」なんですよ。

釈迦

王族出身だったけれども、人生に悩み修行に励んでいた釈迦がある日悟りがパッと開いて、その時に考えた色んなことを周りに伝聞し始めたのが、仏教の最初です。

言うならば、釈迦の創りだした物語が、周りの人の琴線に触れて、共感を得ることが出来、それのファンがどんどんと増えていったという感じですよね。

ちょっとwikiで見てみたところ、その当時と言うのは都市国家の成熟と、それに伴う社会不安が増大してたようです。

仏教 - Wikipedia
発生当初の仏教の性格は、同時代の孔子などの諸子百家、ソクラテスなどのギリシャ哲学者らが示すのと同じく、従来の盲信的な原始的宗教から脱しようとしたものと見られ、とくに初期経典からそのような方向性を読み取れる。当時の世界的な時代背景は、都市国家がある程度の成熟をみて社会不安が増大し、従来のアニミズム的、または民族的な伝統宗教では解決できない問題が多くなった時期であろうと考えられており、医学、農業、経済などが急速に合理的な方向へと発達し始めた時期とも一致している。

出典 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8F%E6%95%99

それらの不安への対処は、それまであった原始的で土着的な伝統的宗教では色々と解決出来なくなって来ていて、その不安に対して新しい解釈をし、新しいストーリーを提示できたのが釈迦なんですよね。

たぶん今で言うならば、お釈迦様は超天才的なストーリーテラーで、人々のなんだかよく分からないけれどもモヤモヤっとする不安を、スッとしてくれるようなお話を作ってくれる人で、それを当時の多くの人が支持して、ファンがどんどんと増えていったという感じです。

ファンはどんどん増え続け、次第にファンクラブという感じで組織化していきます。

しかしながら、現実問題的に、年月が経つとお釈迦様も齢を取り、亡くなってしまうわけです。

すると残されたファン達は、ブッダ先生から聞いたお話(当時は口コミだったらしいです)を、互いに持ち集めて、編集したりして体系づけていき、仏教は形作られていったわけです。

さらには、このファンたちは、お釈迦様の生涯も伝説化しストーリー化したのです。

すなわち、「イム」が「ネ申」となったということです。

この「お釈迦様の創ったストーリー」+「お釈迦様の生涯のストーリー」という二つのお話が、最初の原点であり、それらがどんどんと膨らんでいったことで、それが後に世界的宗教となる仏教へとなっていったのです。

最初の仏教には、仏像も無かった

さて、この「お釈迦様の創ったストーリー」と、「お釈迦様の生涯のストーリー」とを元に発展した仏教ですが、最初の信仰の対象はお釈迦様のお墓らしいです。

初期のお寺は、お釈迦様の骨の収められたお墓である仏塔を中心に造られたらしいですが、その塀とかに、お釈迦様の生涯のストーリー(「仏伝」と呼ばれる)が彫刻として作られてたんですよ。

しかし、当初においては、この彫刻においてお釈迦様は人の形をしていなくて、法輪とか菩提樹とかの象徴的な形で描かれていたのです。

インドの仏展/法輪

驚いたところです。

なんだ、イスラムと同じじゃんと。

今、偶像崇拝に関する問題が起こってたりしてますが、元々は仏教も偶像を崇拝してたりはなかったのです。

今、仏像ガールによる仏像巡りとかもあったりするらしいですが、仏像なんてのはもう細胞レベルで存在してなかったんですよ。

しかし、ここに仏教のマーケティングにおけるコペルニクス的転回が生じるわけです。

インドの仏展
Photo by (c)Tomo.Yun

すなわフィギュア化です。

やはり、サービスと言うのは分かりやすいのが一番です。

仏教に精通した信者なら概念的なものでも理解出来ますが、やはり普通の人にとってみてはフィギュア化してもらった方が分かりやすいのです。

そして、フィギュア化したことは、単純だった仏教のストーリーに大きな幅を持たせることになったのです。

すなわち、ストーリーを面白くするために、どんどんと登場人物を増やしていったのです。

よし、あんなキャラも、こんなキャラも増やしていこうと。

インドの仏展/弥勒菩薩

例えば、これは国立博物館の東洋館に展示されている、弥勒菩薩像なのですがこれも最初の仏教では存在しなかったキャラであり、仏教のストーリーが複雑化している中で造られたキャラです。

しかも、ちょいとジョニーデップが演じてもおかしくなさそうな彫りの深いイケメン具合は、やはり喪女を増やすという意図が見え隠れします。

ちなみに、インドの仏展においては、仏像マニアのみうらじゅん先生と、いとうせいこう先生による解説付き音声ガイドがあったのですが、これは面白かったですよ。


大乗仏教で入り口の敷居を低く

仏教には大乗仏教と小乗仏教っていうのがありましたよね。


簡単に言うと、小乗仏教が修行を積まないと救済されないけれども、大乗仏教は一気に敷居が下がって、修行をしなくても救われるという、なんとも有難いものです。

これはいわば、最初の導入部分は敷居を低く、簡単にサービスを利用することが出来て出来るだけ多くの人を取り入れようという仕組みに似ていますよね。

やはりサービスは簡単簡潔で、すぐに手に入るくらいなのが一番です。

ちなみに、この大乗仏教というのは、ストーリの中で、上記の菩薩など様々な仏様を作りだしております。

例えば、自分自身で修行しなくても救われるためには、代わりに救ってくれる強力なヒーローが必要です。

そんなヒーローがこれ。

三尊像

如来を中心に、左右に菩薩を左右に従えるというスタイル。如来は釈迦如来とか阿弥陀如来の場合もあるし、左右の菩薩は梵天と帝釈天というぐあいなど、まあ色んなパターンがあるのですが、とにかく主役とその左右を固めるという3人スタイルであるということです。

このヒーローが世の中の一切合切を救ってくれるということで、大乗仏教のストーリーの基本的な仏様のスタイルとなっています。

それにしても、この並びって、日本人ならすぐに思いつく、あのスタイルですよね。

これが水戸黄門だ!―テレビ放送34年の人気長寿番組を解き明かす (Hinode fine mook (94))


 こんなふうにして、インドの仏展ではインドでの初期仏教の形を見ることで、仏教の成り立ちとか発展の仕方とかを知ることが出来ましたよ。

他にも、「お経」という形に文字化されたことや、現地の宗教を取り入れる「密教」という形の展示もあって、仏教も時代時代のニーズに合わせてどんどん変化してきたんだなと。

言うならば仏教のマーケティング担当者もなかなか苦労してきたんだなと。

仏教にとってみては新興宗教であるキリスト教やイスラム教やヒンズー教などは、新しくて勢いのある新規ベンチャー企業みたいなもので、古い仏教としては少しでも新しい情勢に合わせて、今の時代に適した形に変えようとしてきたんだなということが目に浮かびます。

さて、それにしても、この仏教を元にして、芸術とか、建築方法とか、茶の湯のスタイルなども生まれてきたわけです。

弟子や信者や芸術家や権力者を巻き込んで、少なくとも日本人の間においては、その精神的構造の基礎的な部分の形成に寄与してたりするのです。それに対して意識的かどうかは関係なく。

時代を超越して、現代の私達の精神的基礎構造には少なくない影響を与えてるはずです。

いやはや、お釈迦様は偉大過ぎるコンテンツプロデューサーです。

釈迦Pですね。



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