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ピース又吉の東京百景もさすが芥川賞作家です

又吉による散歩の本「東京百景」も面白いですよ。さすが芥川賞作家

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芸人による初の芥川賞受賞ということで、大きく盛り上がっておりますね。

まだ読んでいないので気になるところではあります。

さて、そんなピースの又吉直樹先生ですが、読書以外のもう1つの趣味が散歩だそうです。

そんな散歩を元にしたエッセイ集が「東京百景」です。

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これはその名のとおり、東京の百個の風景を書いたものです。

ただ風景の説明をしているのではなく、その風景を元にした物語。

18歳で大阪から上京してから約10年にわたる東京での生活におけるいろんな風景を物語としているのです。

死神に間違えられる又吉さんの面白いエピソードがあり、現実かと思ったら空想が大きく入った恋愛小話があり、太宰治や芥川龍之介などに関連する場所の説明文があり、なんだかハッとする散文があります。

文量も数ページにわたるものから、数行だけのものだったりするなど色々です。

出てくる場所も、住んだ場所や、仕事や遊ぶ場所。散歩で行った場所などなかなか広範囲にわたっていて、新宿や渋谷、お台場というメジャーな場所から、街の片隅のマイナーな場所まで。

ただ、東京に住んだことある人、来たことならイメージ出来る場所が1つは出てくるので、身近な感覚による既視感が出てくるのではないでしょうか。

さて僕は思うに、優れた作家の能力として、読み手に対してある風景を記憶に残すことが出来るか、心に風景をどれだけ埋め込む事が出来るかという事が大きいのではないかと思うです。

この東京百景で印象に残った風景はいくつかありました。

勢いに任せて高速バスではじめて東京に降り立ったときの、みずみずしい青春の1シーン。

華やかな東京がそこにあるのに、自分はなかなか芽が出ず鬱蒼とした暗黒時代。

色んなピースがぴたりとはまりだして、少しずつ忙しくなりはじめた頃の話。

上京物語であり、芸人(あるいは作家)としての歩みを進んでいく風景です。

東京に暮らすこと、未来に対する、不安感と期待感。ミーハー的なものから、それに

東京は果てしなく残酷で時折楽しく稀に優しい。ただその気まぐれな優しさが途方も無く深いから嫌いになれない。

出典 Amazon.co.jp: 東京百景 (ヨシモトブックス): 又吉 直樹

そういう感覚は、東京に生まれ育ったのとは違う、上京した人ならではのものだと思う。

少し羨ましくも感じます。

文体は丁寧で、思慮深く、そして優しいです。

それでいてプッと吹き出してしまうネタが散りばめられていたり、話の最後の一行でガラッと場面を変える文章は、やはりお笑い芸人の力だと感じました。

作家のエッセイとか紀行文とか日記は、物語のベースになっていたり、文章の練習になっていたりするので、小説の源流を辿るような気持ちになるし、作家の本当の部分が見えたりします。

さて、芥川賞選考委員の山田詠美さんは、火花は元手がかかったストーリであると評しています。

【芥川賞講評】「いやあ、又吉くんうらやましい、と」山田詠美選考委員(3/8ページ) - 産経ニュース

「又吉くんはこの小説を仕上げるまでに、今までいろんな人生体験とか、焦燥感とかいろんなものを経験してきた、その人生的なコストが1行1行にかかっている。その元手を取った、ということだと思います」

http://www.sankei.com/life/news/150716/lif1507160058-n3.html

そういうストーリーの元手がこの東京百景に書いていると思うし、また、これを元にした火花はどんなストーリーになっているのか楽しみであります。

この週末に読んでみよう。



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